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『氷壁』 井上靖
2006/06/03(Sat)
人はなぜ山に登るのか。
そこに山があるから・・・と言う人もいる。


NHKで6回くらいの連続ドラマになっていたので、
なんとなく知っている人も多いのではないか。
私は1回くらいしかドラマを見ていないが、私は是非本をお勧めする。

TVではだいぶドラマ的な要素が盛り込まれていて、
不倫や裁判といったスキャンダル的なことが展開ですすめられていた。
しかし、本は、もっと純粋で深くて、引きずり込まれる展開である。


物語の舞台となる奥穂高は、数年前に訪れた。
まだ春だったのか、谷間には雪が残っており、河童橋から望むことができた。
その光景が、氷壁を読んでいると共鳴して私の中の世界を築く。

氷の壁に張り付いて、一晩を明かす。
命をつなぐのは、1本のザイル。

極限の状況に自らを追い込み、その中で人は何を考えるのか。
その心理が繊細に描かれている。
氷壁に張り付いている私がそこにはいる。

世間の騒がしさがうそのように、
世の中が静まり返り、風の音だけが聞こえた。
氷壁 氷壁
井上 靖 (1963/11)
新潮社

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